台湾火鍋(タイワンフォグオ)しゃぶしゃぶ腐乳だれ|山脇りこさんの「自家製」ときどき旅レシピ⑥

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台湾火鍋(タイワンフォグオ)しゃぶしゃぶ腐乳だれ|山脇りこさんの「自家製」ときどき旅レシピ⑥

料理家山脇りこさんによる記憶の中のあの味、あの旅手づくり&自家製を大切にするりこ流レシピです。

レシピ作成・エッセイ/山脇りこ
構成/上坂美穂 イラスト/添田あき 撮影/廣田比呂子

R e c i p e  P o i n t

鍋のおいしい季節。うま味のもととなるしじみは、あさりを使ってももちろんOKです。昆布のグルタミン酸に鶏のイノシン酸、貝のコハク酸、うま味成分を重ねて楽しみましょう。たれは、この他に、大根おろしや、ゆず、など、手に入るものを組合わせて楽しんでください。「腐乳」または「豆腐乳」は、豆腐を発酵させて作った台湾ではとてもポピュラーな調味料。(中華食材を扱う店やネットなどで入手可能です)。

材料 〈4人分〉

ベースのスープ

鶏ガラ…1羽分
だし昆布…10cm角×2枚
しじみ…200g
海老(殻つき)…4尾
日本酒…カップ1
浄水…2ℓ
※手に入りやすいのでしじみにしました。台湾はハマグリのことが多いです。

具材

豚バラしゃぶしゃぶ用…200g
豚肩ロースしゃぶしゃぶ用…200g ※好きな肉を好きなだけどうぞ。
もやし…100g
つるむらさき…100g
えのき…200g
ささげ…100g(いんげんやスナップえんどうでも)
パクチー…200g
白菜…200g ※好きな野菜を好きなだけ。

たれ ※好きなものを合わせてMYたれを作ろう!

パクチー…50g(ざく切り)
青ネギ…10本(小口切り)
豆腐乳(混ぜてスムーズに)、ネギ油と豆板醤(1:1で、混ぜる。約1分、600wのレンジにかけるとよい)、黒酢、米酢、しょうゆ、ごま油(香りがするもの)…各好きなだけ。

<ベーススープの作り方>

1.
深めの鍋に、水と昆布を入れて中火にかける。沸いたら、洗った鶏ガラを入れて弱火で約40分火を入れる。あくを取り、そのまま冷ましてざるで濾す。

2.
火鍋をする鍋に洗ったしじみを入れ、1の半量と酒を注ぎ、蓋をして中火にかける。沸いてしじみが開いたら、洗ったエビ海老を入れる。海老に火が入ったら、具を入れて鍋を始めよう(残したスープはつぎ足して)。

台湾の「圍爐(ウェイルー)」って何?

台湾のお正月。それは春節、つまり日本で言うところの旧暦のお正月(節分)。2020年の春節は1月25日でした。 その日は家族が集まるので、前日の大晦日には、みんなで食卓を囲んで団らんする=「圍爐(ウェイルー)」がお約束。
その「圍爐(ウェイルー)」に、どんなものを食べるのか? 昨年、台湾での仕事で、みんなで手分けして調査しました。そこで多くの台湾の方があげたのが「佛跳牆(フォーティャオチァン)」。あまりにおいしくって、普段は精進料理のお坊さんも壁を飛び越えてやってくる、という意味の福建省由来のスープです。
あわびや干しエビといった乾物を中心に烏骨鶏など十数種類の旨味の多い食材を使い、3日ほどかけてつくるとか。陶器の壺で作るのも特徴。(拙著の中では、このスープが有名な『明福台菜海鮮』をご紹介しています。)手間暇がかかるので、今は、自宅で作らず、買ってきて食べることが多いそう。

和牛しゃぶしゃぶがなぜか不評、そのわけは?

そして、もうひとつが火鍋。日本でも大晦日、すきやき、っていう方、多いですよね。火鍋というと麻辣な辛い鍋を連想する方が多いかもしれませんが、鍋でぐつぐつやる料理はすべて火鍋。中国大陸でも省によってさまざまなスタイルの鍋があります。台湾には大陸のいろんな地域の料理がありますので、火鍋も実に様々。
本の中では「東北軒」という黒竜江省出身の方のお店を紹介しています。ほかにも四川風、広東風、今の香港で流行っている新顔、さまざまが混ざったフュージョン、そして日本風のお鍋もあります。
ルーツは様々ですが、味にうるさい台湾人のお眼鏡にかなうには、「スープのうまみ」が重要なポイントだなと感じています。
私が台北で日本の和牛を使う日本式のしゃぶしゃぶを紹介した時のこと。試作で、いつも日本でやっているように昆布だしでしゃぶしゃぶしたところ、台湾人スタッフの反応がすこぶる悪い、涙。
そこで、理由を聞いてみたところ、「スープがおいしくない、うまみがない」と言われました。私たちは、まず昆布の淡白なスープでスタートして、肉、野菜、きのこなどを投入し、結果としてそのスープにうまみが出ているでしょう? というスタイル。つまり鍋が終わるころに、スープがおいしくなっている。
説明したら、「それはなぜ?」と真顔で質問されました。顔には「初めから旨いスープでやればいいんじゃないの?」と書いてある! うーん、たしかに。なんでなんだろう?もちろん、答えらしきものはあります。澄んだスープの美しさ、その淡白なスープで余分な脂を落とすことで純粋にまじりけのない肉のおいしいさや、野菜の味を感じる・・・・・・とか。

スープは塩分控えめ、旨味は重層的なハーモニー

しかし、言われてみればどうなのでしょう? 確かに、台湾で食べる火鍋は、すべて、スープがはじめから旨い。日本の市販の鍋の素のように味が濃いという意味ではなく、うまみの出る食材をいくつも掛け合わせてじっくり作ったスープ。うまみ成分は2種以上を重ねれば、7倍感じるといわれます。私が訪ねた国の中でも、うまみの複雑さ、重層さを楽しむことにおいて、台湾はナンバー1。その分、塩分はひかえめです。
そこで、台湾ではポピュラーでおいしい、ハマグリを、昆布だしにはじめから入れてうまみを加え、和牛のしゃぶしゃぶをやってみました。あらら、うまっ! おいしいじゃないの。先の台湾人スタッフにも合格点をいただきました。

以来、我が家では、鍋はすべて、しゃぶしゃぶも、スタートから旨いスープでやっています。鶏ガラでとったスープに、アサリやシジミも加えて、そこでしゃぶしゃぶ。うちに来るお客さんにもおいしいと大好評。最後に入れる、麺やごはんにも、うまみが染み染み。スープがおいしいので、たれというより、そこに入れてアクセントになる薬味や、香辛料的な役割の調味料をたくさん用意すると愉しみが倍増します。
圍爐(ウェイルー)=一家団らんは、日本でも鍋の醍醐味。まだまだ寒い日々です。日本にいながらうまみたっぷりの台湾風火鍋、いかがでしょう?

山脇りこ
「食べて笑って歩いて好きになる 大人のごほうび台湾」(ぴあ)

人気料理家・山脇りこが指南するのは、台北を“歩いて回る”楽しみ方。台北駅を中心に5つのエリアに分け、食堂のローカルフード、台湾スイーツからホテルのちょい贅沢ディナー、急増中のおしゃれなバー、デザインホテルや街の食材店、雑貨店などをご紹介。オリジナリティあふれる視点で書かれた文章からはそれぞれの魅力が余すことなく伝わり、ガイド&エッセイとして楽しめます。 また、同じエリアならその日の自分と相談しながら、目的スポットを差し替えるなどして、1度ならず、2度も3度も活用いただけます。 歩いて回れば台北の新しい魅力が見えてくる。台湾リピーターにもビギナーの皆さまにも楽しんでいただける一冊です。

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from c.c.café

どうして「自家製 ときどき旅レシピ」?

おいしかった料理を「どうやるんだろう? 自分で作ってみたい」と思うのは、どんな人にもある経験ではないでしょうか。旅の好きなりこさんは、旅先で出会った料理の記憶をいかして、りこ流に再現してみるそうです。それは日々の料理でも同じ。特に保存食は市販品で済ましてしまうのではなく、自分で素材を選んで作っ てみることで、新しい発見があります。この連載は『いとしの「自家製」 手がおいしくするもの』(ぴあ刊)のレシピを中心に、海外やりこさんの故郷の長崎をはじめとした国内の旅の風景を綴るエッセイとともにお届けします。

山脇りこ

やまわき りこ

料理家。料理教室「リコズキッチン」主宰。旬の食材と丁寧にとっただし、伝統的な製法の調味料で作る、シンプルでセンスのよい料理が得意。自家製の味噌や梅干し、調味料作りはすでに生活の一部で、レッスンでも積極的に教えている。NHK『あさイチ』ほかTV 出演多数。