取材・文 山本久美 撮影 冨貴塚悠太


こんにちは。
レストランガイド「東京最高のレストラン」編集長・大木淳夫です。第三回目となる今回は、亜細亜大学経営学部ホスピタリティマネジメント学科教授(フードサービスマーケティング)である横川潤さんです。ご実家の乾物屋がファミリーレストラン「すかいらーく」として発展してく様を見て育ち、ニューヨークのレストランガイド「ザガット」を翻訳して日本に初めて紹介したという経歴の持ち主。そんな横川さんの食べ手としての横顔を紹介します。

1962年長野県諏訪市生まれ。1歳半のとき父の起業に伴って上京。開いた乾物屋がファミリーレストラン「すかいらーく」として発展してく様をつぶさに見て育つ。現在は亜細亜大学経営学部ホスピタリティマネジメント学科教授(フードサービスマーケティング)。近著は『絶対またいく料理店101』(集英社インターナショナル)。また、「ザガット」を日本で初めて紹介した人物でもある。
幼少からの高級店巡りに
鍛えられた舌
―横川さんがレストランの世界に入ったきっかけを教えてください。
飲食ビジネスを営む家に育ったことが大きいですね。幼い頃は父の偵察という名の高級店巡りに連れて行かれることが多く、次第に「こういう店に出入りできる大人になりたい」と思うようになりました。
―食にまつわる仕事の魅力を教えてください。
20 代後半のいわゆるバブル期はニューヨークで過ごしたのですが、そこで「ザガット」に影響されて処女作「ニューヨーク万華鏡」を上梓したのがキャリアの原点となりました。飲食ビジネスがあったからこそ留学もでき、仕事も見つけられたその恩返しとでも言うのでしょうか。それが今もなお仕事を続けるモチベーションとなっています。
歴史を重ね、顧客が醸し出す
店のたたずまいを愛する
―レストランに訪れた際にまずどこを見ますか?
私も前回(第2回)の浅妻さんと同じく「匂い」です。それはもちろん嗅覚を主としつつも、料理や器、インテリア、サービス、そして客の醸し出す佇まいも含みます。単純に嗅覚としても、アミューズの匂いで、ほぼその後の展開が予想できます。ヨーロッパの名門ホテルでも足を踏み入れて気づくのは歴史や客が裏打ちする「匂い」ですよね。それは一夜にしてはなしえませんが、生まれ持った個性から滲み出るものでもあり、新店でもそれを感知できると震えるような感動を覚えます。
イタリアンの評論に関しては
責任を感じている!
―好きなレストランのジャンルや得意なジャンルは?
ジャンルに好き嫌いはありませんが、2000 年に「東京イタリアン誘惑50 店」という100点満点でほぼ当時の有名店を網羅したガイドを上梓した以上、特にイタリアンの評論には責任を感じています。また、ニューヨークに足掛け6年住みましたので、アメリカ流ステーキの評論にかけては(日本人相手であれば)負ける気はしません(笑)!
―「東京最高のレストラン2019 年度版」に掲載されている横川さん推しの3 店を教えてください。

吟味しつくされた鮨
さき田
東京都三鷹市下連雀1-9-17 K ビル 1F
横川好みの外せない高級店
銀座室井
東京都中央区銀座8-7-19 すずりゅうビル 2F
つまみと握りが至福
銀座鮨 あらい
東京都中央区銀座8-10-2 ルアンビル B1F
―2019 年11月末発売予定で現在編集作業中の「東京最高のレストラン2020 年度版」刊行が待ち遠しい読者のために、横川さんが通い詰める“私好み”の3店を教えてください。

(赤羽橋)
ホテルの天ぷらの名店
天芝
東京都港区芝公園4-8-1 ザ・プリンス パークタワー東京 B1
(銀座)
出色のカキフライを味わう
銀座 みかわや
東京都中央区銀座4-7-12 銀座三越新館1 階
(表参道)
ラ・ブランシュ
東京都渋谷区渋谷2-3-1 青山ポニーハイム 2F
「東京最高のレストラン2020」(ぴあ刊)
創刊から19年。毎年発行されるレストランガイドの中で、最も歴史がある本です。プロの評論家が実名でレストランを採点し、語るスタイルは健在。いよいよ11月28日に2020年版が発売されます。巻頭を飾る話題の注目店に選ばれたのは、はたしてどのレストラン
か? 巻末座談会も必読です。