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スポーツジャーナリスト生島淳さんの
取材後記 アスリートのメンテ力

スポーツの最前線を取材する
生島さんならではの
視点がここに

取材・文/生島淳  撮影/富貴塚 悠太

パラトライアスロン
土田和歌子選手の取材を終えて、
生島さんならではの
感想を伺ってみました。
〈第1回〉

土田選手に話を聞くまで、「自分はトライアスロンを漫然と見ていたんだな」ということに気づかされました。
きっと、スイム、バイク、マラソンの中で得意不得意があるのだろう……。
それくらいの認識だったのですが、スイムからバイク、バイクからマラソンの「切り替え」が競技のポイントということが分かりました。

泳いでいるときは体は下向き。バイクになった途端に仰向けになり、マラソンになると車椅子に座る。まったく違った姿勢でスピードを競うのですから、トライアスロンは選手の「総合力」を試す競技だということがよく分かります。

 それにしても、土田選手のポジティブな生き方には驚かされます。

 パラアスリートは、自分のハンディキャップを隠すことなく、競技会に参加しています。あるスイマーは、「みんな、自分に何が出来るのか試しているので、超前向きな人しかいないですよ」と私に語ってくれたことがありますが、土田選手は運動性喘息さえもプラスに転化し、トライアスロンへの転向のきっかけにさえしています。

「パラリンピックで満足のいく走りが出来ていないのが、競技を続けるモチベーションになっているんです」
と土田選手は話しますが、彼女の姿勢は「超」を3つくらいつけたいほど、前向きなのです。

 1998年の長野パラリンピックに出場した選手の中で、2020年の東京パラリンピックを目指しているのは、おそらく土田選手ひとりではないかと思われます。競技を変えつつ、20年以上も世界で戦い続けているのです。

「そう言われれば、そうかもしれません」
と笑顔を見せる土田選手ですが、長野から東京の間には結婚・出産を経験し、そしていまも子育ての真っ最中です。

 40歳を超え、競技力をどうやって維持しているのか、そして中学生の息子さんとどのように接しているかなどは、また原稿を改めることにします。

 お楽しみに!

from c.c.cafe

どうして生島さん?

この連載はスポーツジャーナリストの生島淳さんにお願いしています。スポーツ関連のTV番組や雑誌で活躍する人気ジャーナリストだけに、スポーツファンならご存知の方も多いはず。
そんな生島さんですら、スポーツそのものに焦点を当てない取材は、あまりないとのこと。
記事の中には、生島さんならではの過去の取材経験談も登場するようなので、その点もお楽しみに。

生島 淳さん

いくしま じゅん

1967年宮城県生まれ、早大卒。五輪は1996年のアトランタ大会から取材。著書に「箱根駅伝ナイン・ストーリーズ」、「エディー・ジョーンズとの対話」など。