東京最高のレストラン編集長が語る、リアルタイム編集日記|第1回「東京最高のレストランの魅力とは?」

Lifestyle

「東京最高のレストラン」
リアルタイム編集日記<第1回>

取材・文 山本久美  撮影 冨貴塚悠太

東京最高のレストランは他のレストランガイド本と比較して何が最高なのか
東京最高のレストランの本の写真

はじめまして。
「東京最高のレストラン」というレストランガイド本の編集長・大木淳夫と申します。創刊は2001年。今年で19年目を迎えます。日本には数多くのレストランガイド本がありますが、気が付けば日本で一番古くから続いているグルメ本となりました。

東京最高のレストラン大木淳夫編集長の写真

―大木さんにとってレストランはどんな存在なのですか?

客、サービス、料理人。
それぞれが作る最高の舞台です。

さて、みなさんにとってレストランとはどんな存在でしょうか? レストランというより、食事をする場所と言い換えてもいいかもしれません。僕が思うレストランとは“舞台”のようなものです。客、サービスの人、料理人、それぞれが共鳴し合いながら最高の芝居を作り上げる努力をする。そこで初めて「特別な忘れがたきひととき」が生まれるというわけです。単にお皿のうえの料理が美味しいか不味いかではないと思っています。だから僕は最高の舞台を見せてもらうために、毎日わくわくしながらレストランへ足を運んでいます。

―「東京最高のレストラン」のポリシーは何ですか?

覆面調査のガイドとの違いは、
一人の客として店に行き、
実名で堂々と評論することです。

まず、「東京最高のレストラン」が数あるレストランガイドとなにが違うのか、という点からお話いたします。
わかりやすく、かのミシュランガイドを例に出してみましょう。ミシュランガイドは覆面で調査をして星付きレストランを決めていますが、「東京最高のレストラン」はすべて実名でレストランを評価。日本のレストラン業界を長く知るフードライターや評論家の6 名が自ら予約をして店を訪れ、ひとりの客として食事をしてその店を評価します。もちろん食事した分はきちんとお支払いします。ただ、覆面調査にも良い点はあると思います。フラットな店の評価ができますよね。それに言い方は悪いですが、油断している店には覆面調査は怖いと思います。一方実名ガイドだと、デメリットとしては店側が取材とわかってしまうということはもちろんあります。実名を出して堂々と批評するというのは自分の発言に責任を持ち、批評をするということです。「東京最高のレストラン」は、創刊以来ずっとその姿勢を貫いてきました。

責任を持った発言をするということは、現代、とりわけ匿名の無責任な発言が問題となるSNS の社会だからこそ求められる姿勢ではないでしょうか? 

水のイメージ画像

―どんなふうに「東京最高のレストラン」を使えばいいでしょうか?

個性豊かな採点者に、
あなたに近い好みの人がいる。
その方の店選びをまず参考に。

6名の採点者は年齢、性別がそれぞれ異なるため、好みもそれぞれ。ある人はとにかく味重視だったり、ある人はサービスを含めた店づくりを含めて評価していたり。そのため採点者の評価は絶対的なものではありません。なぜならレストランを訪れたときの体調にもよりますし、そのとき受けたサービスによってもお店の評価は変わってきます。また、ある採点者にとっては我慢できない欠点があったとしても、ほかの採点者にとってはそれが気にならないことだったりすることも。だからこそ、自分の好みと近い採点者をぜひ見つけてみてください。その採点者が評価している店こそが、あなたにとってぴったりの店かもしれません。 

―どのような方たちがレストラン評をしているのでしょうか?

では編集長の僕から、
採点者のみなさんを紹介します。

森脇慶子さんはグルメ界の良心。これほど毎日食べ歩き、有名シェフたちから信頼される人は他にいないでしょう。
マッキー牧元さんはグルメ界の超重鎮。牛丼からフレンチまで、美味しく食べる工夫に命をかけ、食を愛しています。
小石原はるかさんはマニアックさと気品を兼ね備えた稀有な書き手。愛に溢れた鋭い視点は、つねに料理人に注目されます。
浅妻千映子さんは渋谷で生まれ育ったゆえか、天性の上品さを持っています。「気持ちのいいレストランとは何か?」を常に追求して抜群の信頼感です。
松浦達也さんは通称「巨匠」。食材の成り立ちまでも徹底的に追求し、美味しさとは何かをつかもうとするプロフェッショナルです。
横川潤さんは「すかいらーく」創業家の御曹司にして大学教授。あまりに深い知識と裏腹な楽しい発言は、メンバー全員をなごませます。

よろしければ書籍の採点者プロフィールをチェックして、座談会でのコメントや評価欄を読み込んでみてください。自ずと好みの近い採点者が見つかるはずです。そして次にその採点者が王冠を付けているお店を探してみてください。なかにはその採点者だけが勧めているレストランがあります。そのお店こそがあなたの好みに当てはまるかもしれません。この本を読んで、行ってみたいなと思うお店を見つけ足を運んでもらえるととても嬉しいです。

―毎年刊行されるのですか?

はい。2020年版は、2019年12月の発売予定です。

今年も例年通り刊行すべく、編集作業を着々と進めているところです。僕も採点者のみなさんと連日一緒にレストランへ足を運び、どのような“舞台”なのかを体験し、味わっています。その取材の途中でご報告したい、今年上半期の僕のおすすめのお店3店をご紹介します。

  中華  
「中洞」
(巣鴨)

味は一流、ほのぼのとした
雰囲気が最高

四川料理の名店で料理長まで務めた凄腕料理人が作った、ほのぼのとした雰囲気の店。家族でも楽しめるうえに、完全無添加。さらにどのメニューもお持ち帰りOK なので、安心してたくさん頼めます。

巣鴨の中華中洞の麻婆豆腐の写真
巣鴨の中華中洞の料理の写真

「中洞」
東京都文京区千石4-43-5 ラピュタ千石大武ビル 1F

 カレー 
「副大統領」
(渋谷)

カレーの最高の
うま味が凝縮している

グルメ界の異才が仕掛けた、ポークビンダルーカレーのみのお店。ポークビンダルーは辛味と酸味が同居する豚肉のカレーで、インド・ゴア(店名のヒント)地方の名物。驚くほど酸味が魅力的で、辛さを爽やかに引き立てます。

渋谷の副大統領のカレーの写真
渋谷の副大統領のお店の写真

「ポークビンダルー食べる副大統領」
東京都渋谷区宇田川町41-26 パピエビル 2F

 イタリアン 
「ブラマソーレ」
(外苑前)

骨太イタリアンで、
自由なチョイスが最高

日本一予約が取れないイタリアンと言われた「ドンチッチョ」系列、「シュリシュリ」のシェフだった高橋健太さんの独立店。アラカルトOK だし、麺やソースの組合せをアレンジしてくれる自由度も高い。骨太で、なんとも旨いイタリアンを堪能できます。

外苑前のイタリアン店ブラマソーレのパスタの写真
外苑前のイタリアン店ブラマソーレの料理の写真

「ブラマソーレ」
東京都渋谷区神宮前3-42-5 1F

東京最高のレストランの本の画像2

「東京最高のレストラン2019」(ぴあ刊)
創刊から19年。毎年発行されるレストランガイドの中で、最も歴史がある本です。プロの評論家が実名でレストランを採点し、語るスタイルは健在。さらに昨年から新メンバーとして松浦達也氏が加わりました。巻頭を飾る話題の注目店に選ばれたのは、はたしてどのレストランか?ニューオープン情報もますます充実です、巻末座談会「レストランの未来はどうなるのか」も必読です。

大木淳夫
1965 年東京生まれ。ぴあ(株)メディア・プロデュース事業局チーフプロデューサー。日本初のプロによる実名評価本「東京最高のレストラン」の創刊からの編集長。小山薫堂、堀江貴文、山脇りこほか食を中心としたヒット書籍を出版。食べ歩きの近況は、食べログ、Retty、HUFFPOST、「TERIYAKI」、「全国お取り寄せ手帳」ほかweb 連載でも!